『愛犬のミニーと病気がちな母』

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弓矢が3本揃えば折れないように、病気が三つ重なればどうしようもないくらい治療しにくい。母は糖尿病加えて、多重に病気を抱えている。
母はアイスクリームを食べれば気持ちが落ち着くが、やめれば気分が落ち込む。気分を落ち着かせる為に大好きな買い物をするが、買った物や服を片付けられない。ストレスがたまりまたアイスクリームを食べてしまう。
1対1人で対処するのはかなり大変なことである。ましてや病が重なればなおさらである。三つの穴を両手では防げないのだ。結局、体は悪くなるばかりだ。
そんな母の支えとなっていたのは「  ものづくり」、所謂D.I.Yだった。具体的にブーケやリース、グリーティングカードが得意だった。しかし、厄介なのはアウトプットよりも、とてつもなく多いインプットだ。つまり、材料の量だ。ブーケに使うリボンは何十種類、グリーティングカードに必要な紙は何千枚も買う。企業で例えるなら、ハガキ数枚作るのに工場を設備投資するようなもので、費用対効果は最悪である。しかも、片付けられない病気だからなおさら悪循環だった。
心を鬼にして、母に強く忠告したことがある。「 病気を治すことを優先して今は趣味もやめてほしい 」と。だけれど、それは逆効果だった。母はヒステリックになり「私の生きがいを取らないで 」と反論され、私の方もその散らかった部屋を片づけに毎週帰っていたので、癪にさわって口論になった。
しかしながら、私はその母の反発の中核に力強い魂を垣間見た。浸水ゲームで満たされた水の中でも水で消えない炎がそこにはあった。つまり、生きる根源がそこにはあったような気がする。とどのつまり、母にとって「 生きること」とは「 ものづくり」だったということに気づいた。
私はどうかといえば、母の遺伝子をもろに受け継いでいる。昔から図工や美術が好きだったし、ずっと音楽もやってきた。これからも作品を作り続けたい。コトリズという名前で創作活動をしています。
これは精神的空間をお届けする、一種の母への反発であり、アンチテーゼです。
現実とファンタジーを織り交ぜながら。創作活動は死ぬまで続くと思います。